「UI/UX」と「ポジショニングマップ」、どちらも耳にしたことはあるけど、この2つってどんな関係があるの?と思った方もいるかもしれません。
まずざっくりとおさらいしておくと、UI(User Interface) とは画面のデザインやボタンの配置など、ユーザーが直接触れる「見た目・操作部分」のことです。
そして UX(User Experience) は、そのサービスやプロダクト全体を通じてユーザーが感じる「体験」のことを指します。
ポジショニングマップは、そのUI/UXのデザイン方針を固めるとき、あるいはサービスをリブランディングするときに「自分たちが目指す方向性」を整理するのにとても役立つフレームワークです。
この記事では、ポジショニングマップの基本から実際の作り方、軸の決め方、注意点まで順を追って解説していきます。
目次
ポジショニングマップとは

ポジショニングマップとは、縦軸と横軸の2つの評価軸でつくられたマトリクス上に、自社の製品・サービスと競合他社の製品・サービスを配置した図のことです。
「ポジショニング」という言葉には「位置を定める」という意味があり、マーケティングにおいては「競合他社と差別化しながら、市場や顧客の頭の中に自社の立ち位置を確立すること」を指します。
たとえば、縦軸を「シンプル ⟺ ゴージャス」、横軸を「低価格 ⟺ 高価格」に設定したとします。
そこに競合A・B・C社と自社を当てはめると、どのエリアに競合が集中していて、どのエリアが空いているかが一目でわかる——というのがポジショニングマップの基本的な使い方です。
デザインにおいても、このフレームワークはとても力を発揮します。
Webサイトやアプリのデザインを進めるとき、「なんとなくおしゃれな感じで」「清潔感を出したい」といった言葉だけで方向性を共有しようとすると、デザイナー・ディレクター・クライアントそれぞれが思い描くイメージが微妙にズレていた……ということはよくあります。
そこでポジショニングマップを使い、「シンプル vs ゴージャス」「親しみやすい vs 高級感がある」といった軸でブランドイメージの位置を視覚的に定めておくと、チーム全員が「自分たちが目指すデザインはここだ」という共通認識を持てるようになります。
言語化しにくい「雰囲気」や「トーン」を図として見える化することで、デザインの方針がブレにくくなるわけです。
ポジショニングマップはなぜ必要?
「別に感覚でやってもいいんじゃ…」と思う方もいるかもしれませんが、
ポジショニングマップを作ることには具体的なメリットがあります。
自社の強み・弱みが明確になる
「うちは競合と何が違うんだっけ?」という問いに答えを出しやすくなります。
差別化ポイントを整理することで、デザインやコンセプトの方向性も決めやすくなります。
チームで認識を合わせられる
UI/UXを考えるとき、デザイナー・エンジニア・マーケターが同じ認識で動けているかどうかは、プロジェクトの仕上がりを大きく左右します。
ポジショニングマップは「自分たちはここを目指している」という共通言語として機能します。
言葉だけで説明するより、図でパッと見せるほうが圧倒的に早く伝わりますよね。
マーケティング施策に落とし込みやすい
自社のポジションが明確になると、「どんなターゲットに」「どんな価値を」「どう伝えるか」という施策の方向性が見えてきます。
UI/UXのデザイン指針にもダイレクトにつながっていくわけです。
ポジショニングマップを作ってみよう!
実際の作り方は、大きく4ステップで進めます。
ステップ1:訴求したい方針を洗い出す

訴求とは、ターゲットに対して「どのような魅力や価値を伝えるか」を明確にすることです。
たとえば「信頼感を感じてもらいたい」「親しみやすさを伝えたい」「品質の高さを印象づけたい」などが、訴求の方向性にあたります。
訴求を考える際は、まず「自分たちはターゲットにどう思われたいか」を言語化することが大切です。
伝えたい魅力やブランドイメージを先に整理しておくことで、デザインやコンテンツの方向性も定めやすくなります。
ステップ2:競合他社のデザインを調査・比較する

競合の公式サイト・SNS・口コミなどを調べ、訴求方針に合わせて自社と競合がどのあたりに位置するかを整理します。
デザイン現場では、競合サイトやアプリのビジュアルトーンも一緒に調査しておくのがおすすめです。
たとえば「シンプル vs 情報量が多い」「カジュアル vs フォーマル」「明るい配色 vs ダークトーン」といった観点でスクリーンショットを並べてみると、競合のデザイン傾向が視覚的に把握しやすくなります。
言葉の比較表と合わせて、ビジュアルの比較資料もセットで用意しておくと、後の軸決めやチームへの共有がぐっとスムーズになりますよ。
ステップ3:縦軸と横軸を決める

調査内容をもとに、ポジショニングマップの縦軸・横軸に設定する2つの要素を選びます。
デザイン現場では「シンプル vs 複雑」「親しみやすい vs 高級感がある」「モダン vs クラシック」といった、ビジュアルや印象に関わる軸が使いやすいです。軸の決め方については、次のセクションで詳しく説明しますね。
ステップ4:自社・競合をマップに配置する

軸が決まったら、図上に自社と競合他社を配置します。
PowerPointやGoogleスライド、Figmaなどを使って作成するのが一般的です。
配置が完了したら、「空白地帯はどこか」「目指すポジションはどこか」などを確認します。
例えば空白地帯は、自社で次に狙うべきポジションエリアとして今後の方針に落とし込める可能性があります。
そのほか、他社のデザイン傾向が明確化したポジショニングマップは、自社が打ち出したい方向性を視覚的に明示しブレない共通認識を生み出すことができます。
ポジショニングマップの軸の決め方とは?

ポジショニングマップで一番悩むのが、この「軸の決め方」です。
デザイン現場では特に「何を軸にすればいいかわからない」という声をよく聞きます。ここでは軸を決めるときに意識したい3つのポイントをご紹介します。
ポイント1:ターゲットが感じる「印象」を軸にする
デザインにおける軸は、スペックや機能ではなく「ユーザーがどう感じるか」という印象ベースで設定するのがポイントです。
たとえば「重厚感がある vs 軽やかな印象」「にぎやか vs 落ち着いた雰囲気」のように、ターゲットがそのデザインを見たときに受け取る感覚を軸にすると、ブランドイメージの整理に直結します。
「このデザイン、なんかいい感じだけど言葉にしにくい…」という状態を脱するためにも、印象を言語化して軸に落とし込む作業はとても有効です。
ポイント2:2つの軸は独立した関係にする
2つの軸はできるだけ独立した関係、つまり「一方の印象が強くても、もう一方は高くも低くもなりえる」ようなペアを選ぶのが理想です。
たとえば「カジュアル vs フォーマル」×「シンプル vs 装飾的」の組み合わせであれば、カジュアルでシンプルにも、カジュアルで装飾的にもなりえるので、マップ上に多様な分布が生まれやすくなります。
ポイント3:複数パターンのマップを作ってみる
軸の組み合わせは1種類だけにする必要はありません。
視点を変えた複数のマップを作ることで、「この軸の見方だと競合と差別化できそう」「この軸だと自分たちの強みが出しやすい」といった新しい発見が生まれることがよくあります。
特にチームでデザイン方針を議論するときは、複数のマップを並べながら話し合うと、共通認識が深まりやすくなりますよ。
ポジショニングマップ作成の注意点
最後に、デザイン現場でポジショニングマップを作るときによくある落とし穴を整理しておきます。
注意点1:「なんとなくかっこいい」で軸を決めない
デザインの議論になると、「おしゃれな感じ」「スタイリッシュに」といったふわっとした言葉が飛び交いがちです。
しかしそのままマップの軸に使ってしまうと、人によって解釈がバラバラになり、結局チームの認識が揃わないまま進んでしまうことになります。
軸に使う言葉は、チーム全員が同じイメージを持てるくらい具体的に定義しておくことが大切です。
注意点2:自社の「好み」で作らない
「自分たちはこういうデザインが好き」という視点だけでマップを作ると、ターゲットのニーズとズレたポジションを選んでしまうことがあります。
あくまでも「ターゲットがどう受け取るか」を起点に軸を設定するよう意識しましょう。
注意点3:一度作って終わりにしない
プロジェクトが進むにつれて、ターゲットの解像度が上がったり、競合の動向が変わったりすることがあります。
ポジショニングマップは「作ったら完成」ではなく、デザインの方向性に迷ったタイミングや、リブランディングのタイミングで定期的に見直すようにしましょう。
最初に作ったマップと見比べることで、「当初の方針からブレていないか」を確認する材料にもなります。
注意点4:実現できないデザインイメージを目指さない
マップ上では理想的なポジションが見つかっても、チームのスキルセットや制作リソース、ブランドの歴史的な文脈などによって、実現が難しいケースもあります。
「目指したいポジション」と「現実的に実現できるポジション」のバランスを取りながら、方向性を定めていくことが大切です。
まとめ
ポジショニングマップは、マーケティング戦略だけでなく、UI/UXの方向性を定める際にも活用できる便利なフレームワークです。
「なんとなくデザインの方向性を決めていた」という方も、一度ポジショニングマップを作ってみると、競合との差別化ポイントや自分たちが目指すべきポジションがぐっとクリアになると思います。
難しく考えすぎず、まずは紙の上でも2本の軸を引いて競合を並べてみるところから始めてみてください。
意外とそこから発見があるものです。
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「デザインの方向性を整理したい」「ユーザーにとって使いやすいサイトに改善したい」など、具体的な制作内容が決まっていない段階でもご相談いただけます。
WebサイトのデザインやUI/UXについてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。