「Docker使ってる?」「コンテナ化しよう」——エンジニアの会話やIT系の記事で、Dockerという言葉を目にする機会が増えました。
でも、「なんとなく便利そう」とは思いつつ、なぜDockerが必要なのか、具体的に何が嬉しいのかがピンとこない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Dockerの基本から「なぜDockerなのか」という本質的な部分まで、できるだけわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- Dockerとは何か(ざっくり理解)
- 従来の開発環境が抱えていた問題
- Dockerを使う5つのメリット
- どんな場面でDockerが活躍するか
- 導入時の注意点
Dockerとは?ひとことで言うと…
Dockerは、アプリケーションを「コンテナ」という箱に入れて、どこでも同じように動かせる技術です。
たとえるなら、引っ越し用の段ボール箱のようなもの。家具や食器をバラバラに運ぶと、移動先で「あれがない」「これが壊れた」となりがちですが、段ボールにまとめておけば、どこに運んでもそのまま使えますよね。
Dockerも同じで、アプリケーションの実行に必要なもの(コード、ライブラリ、設定など)を1つの「コンテナ」にまとめることで、開発環境でも本番環境でも、まったく同じ状態で動かせるのです。
従来の開発が抱えていた「あるある問題」
Dockerが生まれた背景には、エンジニアなら誰もが経験する「困りごと」がありました。
😰「私の環境では動くんですけど…」問題
開発者Aさんのパソコンでは動くのに、Bさんのパソコンや本番サーバーでは動かない。原因を調べると、PHPのバージョンが違った、ライブラリが足りなかった、OSの設定が違った…。
環境の違いによるトラブルは、開発現場で最も多い問題の1つです。
😰 新メンバーの環境構築に丸1日かかる問題
新しいメンバーが入るたびに、「まずPHPを入れて、MySQLを入れて、Composerを入れて、Node.jsも必要で…」と環境構築の手順書を渡す。でも手順書通りにやってもエラーが出て、結局詳しい人が横についてサポート。
環境構築だけで1日潰れるのは、チームにとって大きなロスです。
😰 本番環境を触るのが怖い問題
「開発環境では完璧に動いたのに、本番にデプロイしたら動かない」——これが起きると、切り戻し作業で深夜対応になることも。
開発と本番の環境差異が、デプロイの恐怖を生んでいました。
Dockerを使う5つのメリット
1. 環境の違いによる問題がなくなる
Dockerの最大のメリットは、「どこでも同じ環境」を実現できること。
開発者のMacでも、テストサーバーのLinuxでも、本番環境のAWSでも、Dockerコンテナの中身は同じ。「私の環境では動く」問題とは無縁になります。
開発PC (Mac) → 同じDockerイメージ → 同じ動作
テストサーバー → 同じDockerイメージ → 同じ動作
本番サーバー → 同じDockerイメージ → 同じ動作
2. 環境構築が一瞬で終わる
Dockerを使えば、環境構築はコマンド1つで完了します。
docker compose up -d
これだけで、Webサーバー、データベース、キャッシュサーバーなど、必要な環境がすべて立ち上がります。新メンバーも、リポジトリをクローンしてDockerを起動するだけ。環境構築で1日潰れることはなくなります。
3. 環境を汚さずに試せる
新しい技術を試したいとき、直接パソコンにインストールすると、既存の環境と競合したり、アンインストールが面倒だったりします。
Dockerなら、コンテナの中で試して、不要になったら削除するだけ。ホストマシンはクリーンなまま保てます。
# PostgreSQL 15を試してみる
docker run -d -p 5432:5432 postgres:15
# 不要になったら削除
docker rm -f コンテナ名
# PostgreSQL 15を試してみる
docker run -d -p 5432:5432 postgres:15
# 不要になったら削除
docker rm -f コンテナ名
4. 本番環境と同じ構成でテストできる
Dockerを使えば、本番環境とまったく同じ構成をローカルで再現できます。
「本番で動かなかったらどうしよう」という不安が減り、自信を持ってデプロイできるようになります。
5. チーム全員が同じ環境で開発できる
docker-compose.ymlというファイル1つで、開発環境の構成を定義できます。このファイルをGitで共有すれば、チーム全員が完全に同じ環境で開発できます。
# docker-compose.yml の例
version: '3.8'
services:
web:
image: php:8.2-apache
ports:
- "8080:80"
volumes:
- ./src:/var/www/html
db:
image: mysql:8.0
environment:
MYSQL_ROOT_PASSWORD: secret
MYSQL_DATABASE: myapp
「Aさんの環境ではMySQLが5.7だった」といったバージョン違いも起きません。
Dockerが活躍する場面
Web開発のローカル環境
PHP、Node.js、Python などのWebアプリケーション開発で、必要なミドルウェア(MySQL、Redis、Nginxなど)をまとめて起動できます。
マイクロサービス構成
複数のサービスを独立して開発・デプロイするマイクロサービスアーキテクチャと、Dockerの相性は抜群です。
CI/CDパイプライン
テスト環境をDockerで統一することで、「CIでは通るのにローカルでは落ちる」といった問題を防げます。
レガシーシステムの延命
古いPHPバージョンでしか動かないシステムも、Dockerでその環境を閉じ込めれば、ホストのOSをアップデートしても影響を受けません。
導入時の注意点
Dockerは便利ですが、万能ではありません。導入前に知っておきたいポイントをまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学習コスト | 基本的な概念とコマンドの習得に1〜2週間は見ておく |
| パフォーマンス | Mac/Windowsでは仮想化のオーバーヘッドがある(Linuxでは軽快) |
| データ永続化 | コンテナを消すとデータも消える。ボリュームの設計が必要 |
| セキュリティ | イメージの脆弱性スキャン、rootユーザーの制限などの考慮が必要 |
まとめ
Dockerが選ばれる理由は、「環境の違いによる問題をなくす」というシンプルな価値にあります。
- ✅ どこでも同じ環境で動く
- ✅ 環境構築が一瞬で終わる
- ✅ ホスト環境を汚さずに試せる
- ✅ 本番と同じ構成でテストできる
- ✅ チーム全員が同じ環境で開発できる
最初は「なんだか難しそう」と感じるかもしれませんが、一度使い始めると「Dockerなしの開発には戻れない」という声をよく聞きます。
まずは簡単なプロジェクトで試してみることをおすすめします。
当社では、Web制作においてDockerを活用した開発環境を標準採用しています。環境差異によるトラブルを防ぎ、スムーズな開発・保守を実現しています。Webサイトの新規構築やリニューアルをご検討の方は、お気軽にご相談ください。