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Cisco資格試験の学習法について

2022.09.28

2022年3月にAWS SAA資格取得の記事を書きました。その後、2022年7月にCCNP ENARSI試験を受験し合格しましたので、今回はCCNA、CCNP ENCOR、CCNP ENARSI等のCisco資格試験について全体的にまとめたいと思います。

※本記事はCisco資格試験の学習法を中心に構成しており、例えば「CCNAでは〇〇問題が何問程度出た」等の具体的な試験対策アドバイスは記載しません。

 

1. いきなりですが……Cisco資格って取る必要ある?

この記事をご覧になる方はCisco資格に何かしらの興味がおありだと思います。まだ取っていない or これから取りたいという方もおられるでしょう。

で、いきなりですけど……。「正直なところCisco資格(特にCCNA)って取る必要あるのかな?」と考えている方、おられないでしょうか。

もちろん「ITエンジニア」と言っても職種がありますので、例えば「スマホアプリのプログラマにCCNAが必要か?」と問われたら「あって困るでは無いにしても必要性は薄い」となるでしょう。問題はサーバ系やネットワークインフラ系の職種で、これは「業務においてAWSやLPIC資格の必要性が出てくる職種」と言い換えることも出来ると思います。

例えば、AWSやLPICであれば、少なくともアソシエイトレベルの受験料は15000円程度ですし、試験範囲もCCNAやCCNPほどは広くありません。一方でCisco資格の場合、アソシエイトレベルのCCNAでも受験料は35000円を超えますし、試験範囲も広く、簡単に取れる試験ではありません。

「CCNAも取りたいけど、AWSやLPICの方が安いし取りやすそうだしなぁ……」と考えるのは、決して不思議ではないと思います(実は私もそう思ったことがありました)。

この疑問について回答から入りますと「ご自分の職種 or 目指されている職種がサーバやネットワークインフラ系であれば、CCNAだけは取っておいた方が良い」と思います。理由は3つあります。

 

理由その①「CCNAを持っていないと現場に入りにくい」

いきなり身もふたもない話で恐縮ですが、これは結構聞きます。実際に僕も複数の方から言われましたし、同業の知人数名に聞いても、言われたことがあるという人が多かったです。

以前であれば、育成枠とでも言いますか「将来に期待して入れる」というケースも多かったらしいのですが、最近は「CCNAは必須の流れになってきている」という話は、人によって多少ニュアンスが違うにせよ、よく耳にします。

 

理由その②「結局は取ることを求められる」

理由①の続きになりますが、仮にCCNAを持たずに現場に入れたとしても、結局は取得を求められるはずです。というのも、例えばサーバやルータ・スイッチ等のネットワーク機器を扱う職種であればCCNAレベルの知識は最低限必要ですし、サーバ系やクラウド系の職種であったとしても、CCNAレベルの知識が無いと理解が浅くなるからです。

 

理由その③「働きつつ資格を取るのは結構辛い」

よく「現場に入ってから資格を取った方が、受験料の補助等を期待できるのでお得」という話を聞きます。確かに一理あるとは思いますが、それは「取ることが出来たら」の話です。

現場では試験関係以外にも覚えなければならないことが大量にあります。ローカルルールも覚えないといけませんし、人間関係も構築しなければなりません。現場に入ってから数カ月程度は、ただでさえストレスが溜まるはずです。

それらに加えて「取らねばならない試験がある」となれば、かなり辛いと思います。私も新しい現場に入ってからCCNPの勉強を進めましたが、受験が近づいてくると余裕が無くなってしまい、精神的に辛い状態がありました。

すでに現場に入っている方は仕方ないとしても、まだ現場に入っていないのであれば、今の内にCCNAは取っておいた方が楽だと思います。

 

理由番外編「CCNAは難易度的にも今の内に取っておいた方が楽」説について

Cisco資格は2020年に大幅に改定されましたが、改定によってCCNAからシミュレーション問題とシナリオ問題が廃止されました。

以前のCCNAでは「通信が出来なくなった」等のトラブルを解決するために、シミュレータソフト上のネットワーク機器にコマンドを入力する形式の問題が出題されていたのですが、これらの問題が廃止されたことにより、CCNAは知識問題オンリーになりました。

ただ、これは単純に「以前よりも簡単になった」という話ではないと、個人的には思います。

というのも、以前のCCNAではフレームリレーやモデムなど、既にほぼ使われていないようなレガシーな知識を求められる、ある意味サービス的な問題があったのですが、現行のCCNAではこれらのレガシーな問題も廃止されており、最新の知識を求められるようになっています。試験範囲も以前より広範囲になっています。

そのため、確かに現行のCCNAは知識問題オンリーではあるのですが「以前より簡単になった」とまでは言えないと思います。

ただし、Cisco試験は3~4年で改定されるため、そろそろ改定時期が近づいてきています。次の改定でシミュレーション問題が復活すれば現行試験より難しくなる可能性が高いと言えますので、「シミュレーション問題が無い今の内に取っておく」という考えはありだと思います。

 

上記の理由から、サーバ系やネットワークインフラ系の職種に就職したいのであれば、CCNAについては未経験者でも取得しておくべきだと思います

 

2. 私が取得済みのCisco資格について

私が受験したCisco試験と取得年月は、それぞれ以下の通りです。今回はこの3試験について、学習法などをまとめます。

① CCNA (2021年8月) / 学習期間:約2カ月
② CCNP ENCOR (2021年10月) / 学習期間:約1カ月半
③ CCNP ENARSI (2022年7月) / 学習期間:約4カ月
⇒CCNP ENCORと合わせてCCNP Enterpriseの要件を満たす。

CCNP ENCOR取得からCCNP ENARSI取得まで9カ月掛かっていますが、この間にLPICやAWSの資格取得で学習が中断しており、ENARSIの学習期間は2022年3月~7月までの約4カ月になります。

 

3. 学習サイトやテキスト・問題集について

3-1. Ping-t

Cisco資格学習に使用したのは主にPing-tです。Cisco資格では非常に有名なサイトで、ご存じの方も多いと思います。
個人的にPing-tが素晴らしい点は2つあります。

① CCNAやCCNP ENCORの問題数が多い(CCNA、ENCORとも1000問以上)。また、問題の解説が詳しく書かれており、解説を読み込むことで試験学習になる。
② 1年5800円(2年だと8800円)と年間契約にした場合、IT資格系学習サイトとしてかなり安い。長期間の契約が安価に行えるので、資格取得のタイミングをシビアに考える必要がない。

Ping-tにも欠点は存在します。例えば、私は昨年LPIC(レベル3)を取得しましたが、個人的にはLPICの資格学習をPing-tで行うのはお勧めしません。これはPing-tのLPIC問題の出来が良くないという意味ではなく、似たような問題数が大量にあるため、結果的に学習時間が掛ってしまうのが理由です。

ただし、Cisco試験に関して言えば、やはりPing-tをお勧めします。本記事はPing-tを使って学習することを前提に書いていますので、この点ご承知をお願いします。

 

3-2. その他のテキストや問題集について

次にテキストや問題集についてですが、これはSNSでの評判やAmazonレビューなどの見て絞り込めばいいと思います。ただし、相性がありますので、出来れば本屋さんで(立ち読みで確認してから)購入した方がいいです。

私がCCNA学習時に使っていたのは以下のテキストです。私は分からないところがある場合に辞書的に使っていました。

〇シスコ技術者認定教科書 CCNA 完全合格テキスト&問題集[対応試験]200-301

CCNPについては上記参考書のCCNP ENARSI対応のものを一応買ってはいたのですが、Ping-t学習に集中していたため、結局読みませんでした。

 

4. CCNAについて

4-1. CCNAは簡単ではありません

まずはCCNAから。アソシエイト試験ですから、Cisco試験としては決して難易度が高い訳ではありません。

ただし、Cisco資格を取得する場合、多くの方が最初に受けるのはCCNAになると思います。そうすると、Cisco試験の特徴である「試験中に前に戻れない=問題を進めてしまうと再回答出来ない」を初めて経験するのがCCNAになります。

この「前に戻れない」特徴は、慣れれば「Ciscoはそうだから」で済みますが、最初に経験する時は、高額な受験料と合わせてかなり緊張すると思います(私は心臓バクバクでした)。

ですから、CCNAは試験難易度以上に「難しい」試験と言えると思います。

その点を置くとしても、試験として決して簡単ではありません。前述した通り、旧CCNAと比べてシミュレーション問題等が廃止されたとはいえ、試験範囲は広くなっていますし、とにかく覚えることが多い試験です。

私は学習期間2カ月で取得できましたが、私の場合は以前にCCENT(2020年まで存在したCisco資格でCCNAの下位資格)を取得した経験があったため、「以前の復習+新規範囲の学習」という形でした。完全に未経験の方であれば、恐らく学習期間として3カ月程度は見ておいた方が安全だと思います。

 

4-2. CCNAの学習法

学習法というのは好みや相性が特に出やすいものではないかと思います。ですから、いまからご紹介する方法が全ての方に有効だとは思いませんが、ご紹介させていただきます。

CCNAの学習法というよりCisco資格全体の学習法になるのですが、一言で言うと「Ping-tの問題集をとにかく反復して何度も学習する」ことです。具体的には「Ping-tの学習レベルを最高レベルまで上げて、かつ解説部分も読み込んで問題を理解し、Ping-t問題は即答できるまでやる」ことになります。

具体的な方法は以下の通りです。

【Ping-tを使用したCisco試験学習法】

① 分野を選びます。
② 1周目は回答せずに答えを表示し、解説を見ます。この段階では「問題の難易度」が分かれば大丈夫です。解説を見たらすぐ次の問題へ進みます。
③ 1周目が終了したら、その分野の学習を続けるか他の分野を先に学習するかを決めます。個人的には難しいと思ったら別の分野を先に学習しても良いと思います(好みで決めてください)。
④ 2週目から徐々に解き始めますが、20~30秒程度考えて分らなければ、回答せずに解説を見ます。
⑤ 上記を繰り返します。徐々に回答できる割合が増えてきますが、正答率は学習を続ければ上がっていくので気にしないでください。分らなければ解説を見て周回を重ねます。
⑥ 正答率が60~70%程度まで上がってきたら不得意な問題が見えてくるので、以降は苦手問題を集中的に解きつつ、次の分野の学習を始めます。
⑦ 以降は②~⑥を繰り返します。
⑧ 全分野で正答率が80%を超えてきたら、そろそろ受験日を考え始めます。引き続き不得意問題を中心に解き、正答率を上げていきます。
⑨ 全分野の正答率が安定して90%(慎重な方なら95%)以上になったら受験します。

上記で「20~30秒考えて分らなければ解説を見る」と書いていますが、これには理由があります。それはCisco資格試験は「1問当たり70~90秒」で解く必要があるからです。以下はCCNA、CCNP ENCOR、CCNP ENARSIの試験時間と問題数です。

・CCNA[200-301]、CCNP ENCOR[350-401]
試験時間:120分/問題数:100問/1問当たり:72秒

・CCNP ENARSI[350-401]
試験時間:90分/問題数:60問/1問当たり:90秒

このように、本番試験では1問あたり1分半以内に解き進める必要があるため、早解きに慣れておかなければなりません。20~30秒というのは短めですので多少伸ばしても問題ありませんが、普段から早解きのクセを付けておいた方が、本番試験に対応しやすいと思います。

ただし、CCNAの場合は慣れれば即答できる様な問題が多いため、さほど心配する必要はありません。

 

4-3. Ping-tの合格体験記は細かくチェックする

これもCisco資格学習共通ですが、Ping-tの合格体験記はチェックしましょう。他の方がどこで詰まったのか等、参考になる情報が結構載っています。また、もし周囲に最近受験した方がおられたら、試験の傾向等について聞いてみることをお勧めします。

 

CCNAに関しては以上です。試験範囲等についてはCiscoのドキュメント等をチェックしてください。満遍出ます。

 

5. CCNP ENCORについて

「CCNP ENCORはCCNAの上位資格であるCCNPのEnterpriseカテゴリのコア試験です」と書くと訳わからんですが、恐らくCCNAを合格した方の多くが次に目標とする試験だと思います。

ENCORについては「試験範囲が拡大され全体的な難易度も上がっているが、系統としてはCCNAに近い試験」です。要するに「試験範囲は広いし難しいけど知識問題が多い試験」です。

学習方法はCCNAと同じですが、全体的に難しくなっているため、CCNAの時よりも解説の読み込みを深める努力は必要です。

 

6. CCNP ENARSIについて

CCNP ENARIは、CCNA、ENCORとは異なり「トラブルシューティング問題が多い」試験です。

トラブルシューティング問題というのは「〇〇のネットワークで□□のトラブルが起きた。これに対応するにはどの選択肢が適切か」という形式の問題で、ネットワーク図、コマンド実行結果等の画像を見つつ、適切な選択肢を選ぶ必要があります。

この様な問題はCCNAやENCORでも出題されますが、ENARSIでは特に多く出題され、全体の半分程度を占めています。トラブルシューティング問題は図表を見つつ答える必要があるため、回答まで時間が掛ります。つまり、ENARSIでは試験時間が足りなくなる可能性があります。

私はCCNAでは1時間程度、ENCORでも30分程度は時間を残して試験を終了しましたが、ENARSIは残り5分程度しか余りませんでした。ENARSIについては試験の難易度も高いですが、時間配分にも気を配る必要がある点に注意してください。

また、ENARSIはレイヤー3問題(マルチエリアOSPFやBGP等)が多く出題されます(Ciscoによると35%)。配点的にレイヤー3で点数を取れないと合格は難しいので、レイヤー3については特に重点的に学習することをお勧めします。

 

おまけ. Cisco語について

ネットで「Cisco語」と呼ばれている、Cisco試験に頻出される微妙に分かりにくい用語があります。CCNAレベルで出てくるものを中心に、いくつかまとめてみました。

・スタティックルート ⇒ 静的ルート
・HEX ⇒ 16進数
・2WAY ⇒ 双方向
・FULL ⇒ 完全
・ユニークローカル ⇒ 一意ローカル
・伝達 ⇒ 広告
・(フレームカウンタの)Giants ⇒ 巨人
・プレフィックスリスト ⇒ 接頭辞リスト

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